自転車で悪さをするケッタ三兄弟は鼻つまみだった。彼らの自転車はケッタ1、ケッタ2、ケッタ3と言って、泥水入りの水鉄砲装備だった。
泥水で汚された人々は、逆襲に転じてケッタ1とケッタ2を修理工場送りにした。
残ったのはケッタ3だけだった。
しかし、ケッタ3を操る三男は狡猾で誰も入らない泥沼に入って泥水を発射した。
人々は帰路を待ち伏せて、ケッタ3をひたすら蹴った。
三男は泣きながら帰っていった。
だが翌日三男は自転車に乗って再出現した。
「まさか」
「もうケッタマシンは無いはずだ!」
「わははは。これは妹のだ。密かに改造しておいたのだ」
しかし、勝手に自転車を使われた妹が怒りの形相で現れると、三男を蹴った。
(遠野秋彦・作 ©2015 TOHNO, Akihiko)